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7 5, 2019
7 5, 2019

DPCの成功と失敗

DPCとは

DPCの成功

DPCの失敗

DPCにはどのような改善を加えることができるのか?

DPCの成功と失敗
Dota Pro Circuit(DPC)は、主に、その年の国際大会に出場する上位12チームを決定する予選枠を割り当てるために使用されます。最初のシーズンでは、各DPCイベントでのチームの位置付けに応じてプレイヤーにポイントが割り当てられていたので、プレイヤーはある程度保護された状態でした。

年間を通して9つのイベントが開催されたことから、Dota 2のスケジュールは非常にタイトであり、小規模なイベントや2軍チームが最強の大会に立ち向かう余地はほとんどありませんでした。

2018-19年のシーズンでは、ValveはDPCのいくつかの欠点を認識し、前のシーズンで目立ったいくつかの問題に対処するために、ポイントシステムと年間予定を再構築しました。イベント数はわずか5つにまで激減し、ポイントは個々のプレイヤーではなく、チームに与えられるようになりました。これによりすでにかなり、ファンがフォローしやすくなりました。しかし、DPC 2018-19年シーズンでは、何が成功で何が失敗だったのでしょう?

DPCの成功

DPCが始まったことで、国際的なDota 2シーンの一貫性は大幅に向上しました。しかし、毎月のように開催される主要トーナメントは、プレイヤーを閉口させるものでした。2018-19年シーズンでは、DPCカレンダーに含まれるメジャー大会はわずか5つ(Kuala Lumpur Major、Chongqing Major、DreamLeague Season 11、MDL Disneyland、EPICENTER Major)のみで、イベント間には2か月間の休憩がありました。

2018-19年シーズンのDPCは5つのメジャーで構成され、ヨーロッパのチームが公式ランキングの上位12枠のうち6つを確保し、自動的にTI9への招待権を獲得しました。

カレンダーにあるこの休憩は、プレイヤーがパッチの更新とチーム戦略に対応するための時間を設けながら、予選に参加できるように設計されました。

Dota 2シーンの大半は、この休憩を歓迎しました。しかし、定期的に予選をプレイしなければならなかったプレイヤーは、このスケジュールがいかに過酷になりうるかを強く主張しました。ある インタビューで、Dominik ‘Black^’ Reitmeierは、「本選が終わってすぐに予選が始まることがないよう、予選の間隔がもう少し広がっているといいのに」と希望を語りました。また、Peter ‘PPD’ Dagerは、自身のNiPチームが2018-19年のシーズン中、「だいたい1か月に相当する日数もの予選」に参戦したことを強調しました。

プレイヤーが時間を十分確保し、メジャー大会でコミュニティの期待に応えるハイクオリティなDotaを実現できるよう、次のシーズンではこれらの問題が解決されていることを願います。

ストーリーライン

また、‘PPD’ は自身の Twitlonger で、DPCについて「チームをランク付けできる恣意的じゃないシステムがやっとできた」とも述べています。このランキングシステムは、シンプルではありますが、国際的なDotaシーンのトーナメント主催者およびパーソナリティにとっては、コミュニティがフォローし惹き込まれるような物語やストーリーラインを作り出すのに役立ちます。このシステムは、EPICENTER Majorで完璧に実証されました。その大会では技術上、8チームが自動的にThe International 2019(TI9)の参加資格を得ることができました。

EPICENTER Majorでは、残りが2チームのみになるまで、各ラウンド後に対戦したチームの一方がTI9への自動招待のための争いからノックアウトされていきました。GambitとAllianceが2勝先取のベストオブスリーで対戦しましたが、その試合は、ここでの勝者が上位12位の最後の出場枠を確保するのに必要なDPCポイントを獲得できるというものになりました。この物語は、チームベースのDPCランキングシステムが導入されたからこそ生まれました。また、関わっている放送チームにとっても大きな恩恵となりました。

しかし、コミュニティには、システムはさらに改善可能だと信じているメンバーもいます。DatDotaのBen ‘Noxville’ Steenhuisen は、DPCとGlicko2のランキングシステムを使用してDota 2の上位12チームを比較することで、DPCのランクシステムの階数を示しました。各チームのランキングは年間を通して定期的に変更され、最新の結果はチームの位置付けに大きな影響を与えます。

登録選手変更の影響

2018-19年のDPCシーズンでは、登録選手変更によるペナルティがかなり多く発生しました。多くのチームがメジャー出場で代理プレイヤーを活用しなければならなかったからです。OG、EHOME、Allianceはいずれも、複数のイベントで代理プレイヤーを使用していたため、全体の合計ポイントからポイントが差し引かれ、最終的には代理プレイヤーを使用した場合の即時の影響に加え、DPCの順位にも影響を与えました。EPICENTERでは、公式ラインナップを使用していれば450DPCポイントを獲得できたはずのOGが、5番目のポジションにコーチのSockshkaを起用することを余儀なくされ、270ポイントを得るに留まりました。

Team Liquidには、Dota 2史上最も長期に渡る892日名簿に載り続けた登録選手がいました。あとには、AdFinem/Mousesports(750日)とTI2時代のInvictus Gaming(740日)が続きます。

しかし、このルールでは対応できなかった大きな登録選手変更が1つありました。「MATUMBAMAN」の件です。Team Liquidは、それまで比較的順調なDPCシーズンを謳歌していましたが、2019年6月、「MATUMBAMAN」Aukustiが離脱したことを発表しました。「MATUMBAMAN」は2015年からの名簿登録メンバーで、5名登録の名簿に892日間載っていました。彼の離脱時には、Team Liquidは名簿の中に「MATUMBAMAN」を含んだ状態でTI9への出場資格を確保していました。プレイヤーやパーソナリティは、「EraがFnaticを除籍になったときにValveが介入して彼が競技できるようにしたという、TI4での似たような状況」を引き合いに出したPPDとともに、Valveの介入と、プレイヤーの保護を求めました。Lasseは今、Chaos Esports Clubでプレイしていますが、以前は持っていたトーナメントでのプレイ資格を得るためには、オープン予選に参加しなければなりません。

DPCの失敗

DPCは国際的なDotaシーンに多くのプラスの影響を及ぼしましたが、将来改善されるように、Valveのシステムの欠点も強調しておく必要があります。シード制、プレイヤーの疲労、DPC以外のイベントの落ち込みなどの問題は、次のDPCシーズンに向けて取り組む必要があると感じます。

2018-19年シーズンではイベント数が減ったといっても、プレイヤーはTI9に加えてDPCのイベントの参加資格を得るために、非常に多くの日数をプレイしていました。メジャー大会が終了した直後に次のメジャー予選が定期的に行われているため、これらのゲームのスケジュールの悪さがプレイヤーに負担をかけていました。メジャーの資格を得られなかった多くのチームは、その後マイナーの予選に参加しなければなりませんでした。そこから上位2チームがメジャーに進みます。ご覧のとおり、比較的少数のチームによって多くのDotaがプレイされています。

DPCの限界

DPCランキングシステムが導入されはしたものの、PPDは、「これらのランキングを実際に使用してシードを決める、年間を通しての単一のトーナメントではない」と指摘しています。CS:GOには、似たようなシステムのHLTVランキングがあります。このシステムはより定期的に更新される、より正確なランキングシステムであり、個々のトーナメント主催者(TO)の手順と一緒に、シードを決定するために使用されています。

DPCのランキングを活用することで、DotaのTOはプレイする必要がある予選やグループステージの試合数を劇的に減らし、プレイヤーの疲労を防ぐことができます。

The Internationalは、今のところDota 2のカレンダーの中でも一番の山場です。そして、その賞金総額の大きさゆえに、TIはすべての1軍チームにとって最も重要な目標となっています。そのため、チームのDPCランキングに貢献しないイベントは見過ごされています。ESL、DreamLeague、MDLなど、1,000,000ドル以上の賞金総額を設定できる大手TOを除き、DPC以外のイベントでは継続的に1軍チームを惹き付けることができません。これが新しい有能なプレイヤーやチームが表れないことにつながり、ひいては国際的なDota 2シーンをほとんど停滞化させてしまっているのです。

DPCの未来

今年のThe Internationalは上海で8月15日から開催されます。各地域から、オープン予選を勝ち抜いた18組のDota 2世界上位チームが集結します。今年のイージスを掲げるのは誰でしょうか?
開発者のValveは、ゲームの競争的な面についてはより傍観主義的なアプローチをとる傾向にありますが、Valveがさらに関与していくことで、来シーズンのDPCは確実に向上するはずです。次のシーズンでは、プレイヤーを確実に保護できるように選手変更のペナルティが強化され、移籍期限に何らかの形式が導入されることを願っています。また、Valveには、DPCランキングシステムを再構築し、より詳細で正確なランキングを作成できるように、そしてストーリーテリング以外でも使えるようにして欲しいとも思っています。

プレイヤー登録の問題

サッカーなどのより伝統的なスポーツと同様に、移籍期間システムを利用すると、国際的なDotaシーンの競争的な本質を維持しながら、プレイヤー保護をはるかに強化できます。このタイプの構造は、プロフェッショナルシーンの形式を整え、プレイヤー、ファン、そしてスポンサーを同様に保護するのに役立ちます。

「MATUMBAMAN」の例にもあったように、メジャーイベントやThe Internationalへの出場権について、チームのプレイヤーの安全性を確保するべきですが、それだけでは十分ではありません。TIの重要性が非常に重いため、プレイヤーが1シーズン以上生き残るには、トーナメントの資格を得てプレイすることがほとんど不可欠なのです。

ランキングシステムの改善

また、Valveが現在DPCで採用しているランキングシステムが改善されることも期待しています。HLTVに似たランキングシステムがDPCに採用されれば、よりカジュアルな視聴者を巻き込んでストーリーをさらに発展させることになるでしょう。この改良されたシステムでは、DPCランキングは単に物語を生み出すだけのものではありません。例えばシード権の通知、トーナメントへの招待、および成績の確認のために使用できます。

DPCの今シーズンは全体として、国際的なDota 2シーンに良い影響を与えていますが、Valveが取り組むべき根本的な問題はたくさんあります。Valveが上記の問題をすぐに解決し、再びクオリティの高いDotaを楽しめるようになることを願っています。2019-20年のDPCシーズンにどのような改善が予定されているのか楽しみです。

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筆者について

Jack Davidson
Dota 2とCS:GOに強い関心を寄せ、2011年からeスポーツのあらゆる面を熱心に追い続けています。かつては多国籍企業のソーシャルメディアプロファイルを管理する職に就いていましたが、キャリア変更。現在はPinnacle eスポーツのコミュニティマネージャーとして仕事に情熱を傾けています。
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