CS:GOでは、Counter Terroristチームとしてプレイする方が有利であるように考えられてきました。しかし、CS:GOの開発者、Valveが2017年に複数回のアップデートを施すと、パワーバランスが変化し、このような見方にも変化が起きました。バランスが釣り合うように変化するのがトレンドであると多くの人が考えていましたが、今年初めからの統計によると、それとは逆の方向へ向かっているようです。
Counter-Strike: Global Offensive(CS:GO)では、両チームがTerrorist(T)とCounter-Terrorist(CT)に分かれ、前半15ラウンドと後半15ラウンドで交替してプレイします。T側になった場合は攻撃サイドです。攻撃サイドの目的は、2箇所あるボムサイトの1つに爆弾を仕掛けて、それを守り抜くことです。CT側は防御サイドで、目的はボムサイトを守ることです。爆弾を仕掛けられた場合でも、CT側は、爆弾の起爆装置を解除できれば勝利することができます。両チームとも、相手を殲滅することによりラウンドに勝利することができます。
逆転が起きる確率を正確に評価できることが、ベット成功への鍵です。その確率に影響を及ぼす要素が非常に多いため、正確な評価を下すことは思ったほど容易ではありません。CS:GOには、ゲームプレイに影響を及ぼす変更が常に施され、同時に、一方のサイドに有利になる偏りもマップごとに存在します。それでも特定のデータを見つけ、勝利を呼び込めるパターンを探し出すことは、多くの人が考えるほど難しくはありません。
最近の変更
2019年に入ると、CT側とT側の間でバランスを取ろうとする動きは見られなくなりました。一度勝率のギャップが拡大すると、LANにおいて、CT側のそれまでの勝率と比較すると、前の年のギャップよりも2%以上増加しました。ここ数年は両サイドのバランスが平等に近づくよう、年間0.1%から0.5%の間でなだらかに調整が加えられてきましたが、今年はこれまでのところ、そうした傾向が大きく変化しています。
これは、ゲームに多くの変更が施されたことが背景にあります。これらの変更は、ゲームプレイ、武器、マップのカテゴリーに分類することができます。これらの鍵となる3つの要素はそれぞれ重要であり、異なる方法でゲームに影響を及ぼす変化を生じさせます。
CS:GOにおける銃の影響力
まずは、武器部門の中のAUGから始めましょう。Valveによりこの武器の価格変更が導入されるまでは、AUGは実用性が低いと考えられていました。これまで一貫して実効的でない武器として知られていおり、この銃の属性に変更があっても、プロやセミプロのプレイヤーに知られないままでした。M4レンジの武器を使い続けていたからです。
しかし2018年10月9日、最終的にValveがAUGの価格を$150も大幅に引き下げると状況は変わりました。軽微な変更のように思えますが、この調整でM4A4やM4A1-Sより$50高いだけになり、プレイヤーはこの武器を選び、残った資金を他のユーティリティに費やすことができるようになりました。
プレイヤーはしばらくの間、新たに安くなった銃を使用することを躊躇していましたが、2019年に入る頃には、AUGはCT側にとっての必須アイテムになりました。これが、2019年にCT側の勝利が増加した一番の理由です。
一時は理想的だった勝率のギャップは大きく広がり、これまでのところCT側の勝率は、去年と比較して2%以上増加しています。
AUGは、M4レンジよりも実質的に優れた銃です。近距離では、AUGの優れた防具貫通能力により、敵を倒すために撃ち込む弾数が少なくてすみ、ヘルメットを被った敵でもヘッドショット一発で倒すことができます。遠距離では、スコープと大容量の弾倉により、近づいてくる敵に照準を合わせることができるパワフルな武器になります。
AUGとM4のスプレーパターンはほぼ完全に一致します。AUGの方が、リコイルの広がりは小さいという違いがあります。AUGに相当するT側のSG 553も競技ゲームにおいて一般的に利用されていることは、このスプレーパターンにより説明できるでしょう。SG 553のスプレーパターンは、AK-47のそれと大きく異なります。多くのプレイヤーにとっては、その点こそ、この武器が競技ゲームで今でも多用されている理由でもあります。
Valveは、AUGの価格を再び元の$3300に戻しましたが、この銃のテイストを好んだ競争心の強いプレイヤーの多くは、他の銃よりもメリットがあると考え、この銃を使い続けるという状況になっています。同じアップデートで、Valveは忘れられがちなM4A1-Sも改良し、このサイレンサーを装着可能な武器の装弾数を(20発入りから25発入り弾倉に)増加させました。
パッチがゲームプレイに与える影響とは?
ゲームに目立った変更が複数施されて数年が経つと、2019年3月、ラウンドタイムの例外とC4タイマーの長さは別として、Valveは極めて思い切った変更をゲームに施しました。この変更には、ロスボーナスカウンターの訂正が含まれていました。以前はラウンドに勝利するとリセットされていましたが、代わりにロスボーナスマネーが1レベル下がるようになりました。Valveによると、この変更は、「連敗によるネガティブなフィードバックの繰り返しを減らす」ことを目的としているとのことです。
これは、両方のチームに影響を及ぼすものではありませんが、この特にエコノミーに関する変更は、CT側にわずかな救いの手を差し伸べることになりました。その理由は、T側よりCT側の方が、武器とユーティリティの価格が高いことにあります。たとえば、M4A4とAK-47は同等な比較対象になる武器です。これら2つの武器では、M4A4はAK-47よりも$350高価になっています。
2018年10月9日、ValveがAUGの価格を$150も大幅に引き下げました。
さらに、CT側のIncendiary Grenadeは、T側のMolotovよりも$200高価であり、また、$400かかるDefuse Kitは、T側には直接比較するべき対象は存在しません。以前は、CT側は経済的ダメージを受けずに多くのラウンドを勝利しなければならず、また多くのエコラウンドをやりすごしてフル購入できる状況にする必要がありました。
- CS:GOのエコノミーに関する概要をお読みください。
これは、ValveがCS:GOに施したエコノミーに関する2度目の変更でした。2018年10月、Valveは変更を加え、ピストルラウンドの敗戦チームは、ロスボーナスのティア2へ直接移動するようになりました。CT側にとって、この$500の追加は極めて重要です。これで、第4ラウンドまでフル購入の機会を待つ必要は無くなりました。第3ラウンドで順当に購入をするか、第2ラウンドで無理買いをしてより早く立ち直ることができるようになりました。
2019年5月14日、さらなる変更が加えられました。新しいロスボーナスシステムは、最大ロスボーナスを獲得した後にロスボーナスカウンターに上限が設けられるようになり、チームが勝利する度に1ずつ減少するようになりました。以前は継続的に増やしていけたので、両チームが複数のラウンドにわたり、最大ロスボーナスに居座り続けるという妙な状況に陥ることが起こっていました。
競技マッププールを理解する
個人的な見解として、CS:GOのマッチバランスへの影響がもっとも少ない変更は、CacheがVertigoに置き換えられたことでしょう。2018年全体にわたるVertigoの導入と比較すると、CT側のラウンド勝率はわずかな増加が見られました。しかし、2018年から2019年初頭までのCacheでの勝率を比較すると、48.2%だったCT側の勝率が50.7%まで増加したことがわかります。同じような統計に関する変化は、Mirageのような他のマップでも見られます。 これらは前述の2つの変更点、すなわち武器やエコノミーに関するゲームプレイ上の変更が要因となっている可能性が高いです。
Valveは十分な事前の告知をせず、CS:GOに多くの変更を加えることで知られています。そして、それによりプレイヤーやチームを驚かせています。CS:GOは不変なものではありません。ゲームを進化させ、メタを変化させる機会をもたらすアップデートが継続的に施されています。 今後もゲームの基本的な部分はそのままに、高度なゲームシステムのみがアップデートされていくと考えられます。
- CS:GOマッププール入門の記事をお読みください。
Valveは、CS:GOに継続的な改良と変更を加えています。すべてのアップデートがチームやプレイヤーにとって必須とは限りませんが、こうしたアップデートによってプレイヤーは、新たな強みを生かした、新たな戦略を編み出すことができます。CS:GOの開発者のウェブサイトを継続的にチェックすることには価値があるでしょう。そして、コミュニティ、チーム、プレイヤーを変化させることに対応して、年末までに誰が頂点に立つのかを知ることができるでしょう。
2019年5月15日現在で正確な、HLTV.orgによるスタッツ。