歯がゆい思いが11年続いても、ファンは夢見ることを止めません。何度も決勝に進出しながら、LECはWorld Championship (Worlds)の栄光をまだ味わっていません。Fnaticファンの皆さん、残念ながらシーズン1はご存じの通り、カウントされません。
G2 Esportsの悪名高い2019年のメンバーがMid-Season Invitationalを制し、SKTを倒して地元でWorlds決勝に進出した時、ヨーロッパの時代がやっと来たと感じました。しかしFunPlusPhoenixに3-0で惨敗し、トロフィーを逃しました。あれから数年、それはまったく手が届かないところに行ってしまったようです。
過去2年間にWorldsの準々決勝よりも先に進んだLECチームがないことを考えると、変化が必要でした。そして、Riot Gamesは間違いなくその変化をもたらしました。
「多ければ多いほど良い」というアプローチで、LECはあらゆる方向にほとんど拡大しました。トルコ、CIS、中東、アフリカがヨーロッパに統合され、EMEAが生まれました。
しかし、最大の変化は、新しいフォーマットのおかげで試合が増えることです。LECチームは、ベストオブスリーやベストオブファイブ形式で定期的に競うことになります。
ファンは、新しく増えたこの重要な試合や練習がLECチームにとってLPLやLCKチームとの戦いの場を増やすことになると信じています。しかし、本当にEMEAチームがサモナーズカップを掲げることになるでしょうか?
経験。テスト。アピール。
まず明白なことを挙げましょう。多くの試合をプレイすることは、チームの強化に直接つながるはずです。ルーキーたちに経験を積ませながら、チームはテストを行い、対処が必要な弱点を見つける機会が得られます。1年にスプリットが3回行われるので、おそらく登録メンバーの変更も増えるでしょう。
しかし、質が伴わなければ数が増えても無意味です。LECファンにとって幸運なことに、そこで新しいフォーマットが真価を発揮します。各スプリットは3週間のベストオブワン形式の試合から始まります。全チームが1回ずつ対戦し、下位2チームが脱落となります。
この段階で敗退すると、その後2ヶ月間試合がなくなるので、どのチームにとっても避けたいところでしょう。マルチシリーズの練習もなく、競う環境もなく、スポンサーに向けてアピールする機会もなくなります。
その点を考えると、各試合でチームにのしかかるプレッシャーは増大します。力量不足のメンバーを起用しながら、大きな影響を受けることなく1年を乗り切れるチームはないので、どのチームにとっても競争力の向上が欠かせません。
元FnaticコーチのJakob “YamatoCannon” Mebdiが指摘するように、このフォーマットは「降格は存在しないが、降格の力をもたらす」でしょう。
また、この最初のステージが最も番狂わせが起こりやすく、次のステージでグループのバランスが崩れる可能性があるとも指摘しています。「G2や主要チームがスタートで出遅れれば、非常にバランスの悪いグループが生まれ、プレーオフはとても奇妙なことになるかもしれません。」
一方、ウインタースプリットのチャンピオンが年末のLECファイナルの出場資格を得たことにどう対応するかによって、残りの2つのスプリットにおける試合のバランスが悪くなる可能性もあります。3つのスプリットがあるので、ペースダウンして、様々な戦略を試したり、疲弊を避けるために温存したりする可能性も高くなります。
さらに、トップレーナーのAndrei “Odoamne” Pascuなど多くのプレイヤーの間で、今年の真のLECチャンピオンは1チームだけになるため、3つのプレーオフタイトルの価値が下がるという意見が出ています。
しかし、フォーマット変更のおかげで、スプリングスプリットにはMSIの出場資格2枠の獲得というインセンティブが加わり、ほとんどのチームが最後のファイナル前のサマースプリット中も競争力を保とうとすることが想定できます。
ただし、これは基本的に各チームがこうした変化にどう反応するかによって大きく変わります。
文化の変革
新しいフォーマットが良いかどうかよりも、チームの文化が大きな影響をもたらすことになるでしょう。
このフォーマットにより、どのチームも強くなる必要に迫られ、競争の激しい、大変な試合が続く1年になる可能性があります。しかし、過去にそうだったように、スクリムを疎かにするチームがあったり、EUWのソロキューがめちゃくちゃになったりしたら、EMEAのトッププレイヤーたちにとって、中国や韓国のチームが常に維持している高いレベルに食らいつくことがますます難しくなるでしょう。
PCゲーミングは韓国文化の一部です。PCバンは韓国の10代の間で人気が高く、韓国をはじめとするアジアの多くの国ではeスポーツのスター選手は非常に有名です。例えば、LPLのEDward Gamingが2021年のWorldsで優勝した時は、リオネル・メッシが昨年アルゼンチンにワールドカップのトロフィーをもたらした時のブエノスアイレスを思い起こさせるようなシーンが中国全土で見られました。
ヨーロッパがそこに追いつくまでにはまだ長い道のりがあります。おそらく、今年FnaticがWorldsで優勝してもエッフェル塔の下でパーティーは行われないでしょう。
しかし文化と言えば、LECが以前成功していた主な理由として、ルーキーを育てる地域の力が挙げられます。European Masters (現在のEMEA)は、そうした有望な才能のあるプレイヤーに経験の場を提供し、ルーキーの成長を大きく促進していました。トルコなどの地域リーグの追加がそれにどう影響するか、まだわかりません。
一方、元ワイルドカードの地域のプレイヤーにとってLECへの道が簡単に見つかるようになるはずです。しかし、Worldsの出場資格が足りないことで、多くのプレイヤーがそれらリーグに見出していた魅力や試合へのモチベーションが失われるので、スターがなかなか誕生しない可能性があります。例えば、トルコのTCLはRasmus “Caps” WintherやGabriël "Bwipo" Rauなどのスーパースターがキャリアをスタートさせた場所です。
そうしたスターは成長した後、今度はLECのために奮闘します。LCSチームは多額の金額を提示できるため、過去数年で数多くのヨーロッパのプレイヤーが米国へ流出しています。
新しいLECフォーマットが大成功を収め、LCSの日中開催への大胆な移行や平日の試合が効果を生まないことを証明したら、EMEAは貴重な人材をキープし、結果として強いメンバーを揃える力が手に入るかもしれません。
総じて、新しいLECフォーマットはものすごく楽しみです。大きな全体像のほんの一部でしかありませんが、こうした変化は確実にLECを国際舞台でもう一度侮れない存在に変えてくれることでしょう。
Worlds 2023は早すぎるかもしれませんが、解放されることが待ち遠しいポテンシャルを秘めていることは確かです。新しいシステムにより、サモナーズカップをLECの手に取り戻すチャンスがあります。
それを活かせるかはプレイヤー次第です。