リーグ・オブ・レジェンドはeスポーツ界をけん引する世界的タイトルです。Pinnacleでは、eスポーツとしてのリーグ・オブ・レジェンドの歴史と、初めは目立たない存在だったLoLがどのように世界的な現象へと進化したのかを振り返ります。
リーグ・オブ・レジェンド誕生の日
リーグ・オブ・レジェンド(LoL)はRiot Gamesが開発を手掛け、2009年10月27日にリリースされました。
LoLはマルチプレイヤー・オンライン・バトル・アリーナ(MOBA)ゲームで、人気の高いウォークラフト 3: The Frozen ThroneのMODであるDefense of the Ancientsに着想を得て開発されました。
このゲームは「サモナーズリフト」と呼ばれる架空のアイソメトリックなバトルフィールドを中心に展開し、5人1組のチーム2組が「チャンピオン」と呼ばれるユニークなキャラクターを使用して戦います。ゲームの目的は、敵チームの本拠地「ネクサス」を破壊することです。
LoLは利用できるアイテム、レベル、スキルが豊富で、プレイヤーはチャンピオンをカスタマイズしながら、所要時間が通常30~60分の試合に臨みます。チャンピオンはゲーム内での役割ごとに区別されます。リーグ・オブ・レジェンドに登場する役割の詳細は、Pinnacleのガイドをご覧ください。
eスポーツとしてのリーグ・オブ・レジェンドの歴史
2009年のリリース後、eスポーツとしてのLoLはひっそりと幕を開けました。初めて開催された大会はESL、IGN、MLGなどが主催するLANイベントでのオンライン対戦でした。主な参加者は北米とヨーロッパのプレイヤーで、Team SoloMid (TSM)やCounter Logic Gaming (CLG)など、現在eスポーツを象徴するチームが黎明期のLoLでプレイしていました。
LoL初の大きなトーナメントは2011年、リーグ・オブ・レジェンドWorld Championshipのシーズン1が、スウェーデンのヨンショーピングで開催されました。DreamHack Summerで行われたこのトーナメントの賞金総額は$100,000でした。World Championshipのシーズン1に出場したのは計8チーム。上位3チームは北米とヨーロッパからの参加で、その他にシンガポールとフィリピンの代表チームも参加しました。
このシーズン1のユニーク視聴者数は169万人で、当時としては素晴らしい数字となりました。そのうちの21万人は、リーグ・オブ・レジェンド初の世界チャンピオンを決めるタイトル戦で、FnaticがAgainst All Authorityを2-1で破り優勝した試合を観戦するために集まった観客でした。
eスポーツとしてのリーグ・オブ・レジェンドが世界に拡大
シーズン2を迎えるにあたり、Riot Gamesは、北米およびヨーロッパ国内のマーケット以外にプレイヤーを増やすことを大きな目標に掲げました。2011年の終わりには、韓国と中国のゲームサーバーを積極的にローンチし、世界最大規模を誇る2つのゲーム市場でLoLが解禁されました。特に韓国への参入は、LoLの競争力を一変するものとなりました。当時の韓国は世界最先端のeスポーツエコシステムを有しており、その歴史は2000年代後半のBlizzard Entertainmentsによるリアルタイムストラテジーゲーム「スタークラフト」までさかのぼります。
2019年のWorld Championship決勝の平均視聴者数/分は推定で2,180万人と言われていて、2018年の1,960万人から前年比11%の増加となりました。
一方の中国については、数十億ドルの価値があるノンエンデミック・オーナーシップを導入した世界第2位の経済大国として、LoLの大ブレークが確実視されていました。中国でのLoL人気は桁外れで、数百万人のファンを獲得し、あっという間に一番人気のeスポーツタイトルへと昇り詰めました。2019年のサモナーズカップ決勝で中国のチームFunPlux Phoenixが優勝した試合は、中国国内だけで1億人もの視聴者が観戦しました。
競争力のあるエコシステム構築の一環として、シーズン2ではリーグ・オブ・レジェンドChampionship Series (LCS)を設立。北米とヨーロッパに1つずつ、それぞれ8チームが所属することになりました。LCSでは2018年半ばまで昇格・降格システムが採用されていましたが、Riot Gamesは北米リーグにフランチャイズ制を導入し、リーグシステムの変更を計りました。ヨーロッパのLCSも2019年の初めに同様の変更が加えられ、リーグ・オブ・レジェンドEuropean Championship (LEC)に生まれ変わりました。
現在は、世界各地に12のプロリーグが存在します。
リーグ名 |
地域 |
リーグ・オブ・レジェンドChampionship Series (LCS) |
北米 |
リーグ・オブ・レジェンドEuropean Championship (LEC) |
ヨーロッパ |
リーグ・オブ・レジェンドChampions Korea (LCK) |
韓国 |
リーグ・オブ・レジェンドPro League (LPL) |
中国 |
Pacific Championship Series (PCS) |
台湾、香港、マカオ、および東南アジア |
Vietnam Championship Series (VCS) |
ベトナム |
リーグ・オブ・レジェンドContinental League (LCL) |
ロシア |
Turkish Championship League (TCL) |
トルコ |
Campeonato Brasileiro de League of Legends (CBLOL) |
ブラジル |
Liga LatinoAmerica (LLA) |
中南米およびメキシコ |
リーグ・オブ・レジェンドJapan League (LJL) |
日本 |
Oceanic Pro League (OPL) |
オセアニア |
eスポーツとしてのLoLにおける韓国の黄金時代
地域ごとにプロリーグが設立されてから、韓国のリーグ・オブ・レジェンドChampions Korea (LCK)は他の地域と比べてスキルの差が顕著で、世界一競争の激しいリーグとして注目されるようになりました。LCK設立後初のシーズンで、リーグ・オブ・レジェンドWorld Championshipのシーズン2にAzubu FrostとNaJin Swordが出場し、Azubu Frostが決勝まで進みましたが、Taipei Assassinsに破れ優勝には手が届きませんでした。残念な結果となったものの、Azubu FrostとNaJin Swordの活躍で、今後のチャンピオンシップ優勝候補を輩出する地域として、韓国のポテンシャルを見せつけることとなりました。
時は進んで2013年、Worlds史上最も成功を収めることになるSK Telecom T1 (SKT)とSamsung Galaxy Pro-Game Team (SG)の2チームが設立され、韓国LoLの黄金時代が幕を開けます。このときデビューした若きルーキーLee “Faker” Sang-Hyeokは、ソロキュー(リーグ・オブ・レジェンドの対戦モードに参加するソロプレイヤーが集まる場)から直接スカウトされた、才能あふれるミッドレーナ―です。Fakerはレギュラーシーズンの間、ミッドレーナ―として圧倒的な強さを見せ、eスポーツを最も象徴する場面で絶頂期を迎えます。それがHot6ix Lol Champions Summer 2013の決勝で、FakerがRyu Zedと対戦し勝利を収めた瞬間です。
SKTとFakerの勢いはWorld Championshipのシーズン3でも止まらず、グループステージを7勝1敗で勝ち抜き、準々決勝ではGamania Bearsを2-0で、準決勝ではNaJin Swordを3-2で下します。さらに決勝ではRoyal Clubに3-0で勝利して、見事シーズン3の王座を獲得しました。その後も2015年と2016年のWorldsで2年連続優勝を果たしたSKTですが、SKTが優勝にあと一歩及ばなかった2014年と2017年にはSamsung Galaxyが優勝しています。
LCSでは2019年初頭の時点で、リーグに所属するプロプレイヤーの21%を韓国人が占めていました。これはヨーロッパ(18%)やその他の地域(9%)を上回る数字でした。
この時期、北米、ヨーロッパ、中国で活動する多くのチームが、LCKのチームが収めた世界的な成功を再現すべく、チーム強化のためにこぞって韓国人プレイヤーを加入させる動きが強まりました。中でも韓国人プレイヤーの「大移動」で成功したのが、中国のeスポーツチームInvictus Gaming (IG)です。IGはミッドレーナ―のSong “Rookie” Eui-jin(元KT Rolster Arrows)とトップレーナ―のKang “TheShy” Seung-Iok (元Rebels Anarchy)を韓国リーグから迎え、2018年のWorld Championshipで優勝するチームとしての基盤を固めました。
IGのサモナーズカップ優勝を機に、World Championshipにおける韓国チームの黄金時代は正式に終焉を迎え、ここで初めて、各地域の実力差が狭まっていることが明らかとなったのです。
数字で見るリーグ・オブ・レジェンド
Riot Gamesが公式に発表した情報によると、LoLのマンスリープレイヤーは2011年に500万人、2012年に3,200万人、2014年には6,700万人を数えました。2014年を最後に、プレイヤーベースの統計は公式に発表されなくなったものの、2019年のマンスリープレイヤー数は8,000万人~1億1,500万人と推定されています。
この記事でも触れましたが、2011年のWorld Championshipは推定で169万人のユニーク視聴者を集め、ピーク時の同時視聴者数は21万人、賞金総額は$100,000でした。それから約10年後の2019年に開催されたWorld Championshipのユニーク視聴者数は推定で1億人、ピーク時の同時視聴者数は4,400万人、賞金総額は$2,250,000となっています。
ゲームの成長に伴い、プロプレイヤーたちはどのような恩恵を受けてきたのでしょうか? Riot Gamesは2013年、LCSに所属するプロプレイヤーに対して$75,000の最低基本給を導入しました。Forbes誌によれば、プロプレイヤーの平均給与は2018年までに$320,000へと増えています。2019年のLCSオフシーズン中、リーグ・オブ・レジェンドのトップレーナーHeo “Huni” Seung-hoonがTeam Dignitasとの2年契約にサインし、年俸として$2,300,000相当が保証されたとESPNが報じました。これにより“Huni”は、リーグトップクラスの年俸額を誇る選手となりました。
複数の指標から見る限り、eスポーツとしてのリーグ・オブ・レジェンドの未来は明るく、次の10年も最も人気の高いeスポーツタイトルであり続けると予想されています。